テレビ・マンガ雑誌の表紙など、様々な場所で活躍するグラビアアイドル。一見、華やかそうに見える彼女たちだが、稼ぎの面ではなかなか厳しいようだ。
たとえば、“尻職人”こと倉持由香は2019年5月放送の『#ミレニアガール』(フジテレビ系)にて、こんな“ボヤき”を語っていたことがある。
彼女によれば、「週刊プレイボーイ」や「週刊ヤングジャンプ」(いずれも集英社)といった大手出版社のグラビア仕事でも基本はノーギャラで、いくら華々しいメディア露出があったとしても、必ずしもそれが収入につながっているわけではないのだという。
グラドルたちが公開してきた年収
清水あいりは2021年11月放送の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)で「ここ2~3年でやっとなんですけど……月3桁ぐらいはいけるようになった」と100万円を超える月収を得ていることを告白。
一方で、2014年6月放送『言いにくいことをハッキリ言うTV』(テレビ朝日系)でグラドル・コラムニストの小明は衝撃的なことを語っていた。
月収が1万円ほどしかないグラドルはザラで、その1万円でさえ事務所などにマネージメント料として抜かれ、交通費などの経費を合わせると赤字になることは珍しくないそうだ。
そんな事情もあり、稼ぐために“ギャラ飲み”に手を出すグラドルは後を絶たない。
“ギャラ飲み”とは、飲み会に参加し、タクシー代などの名目で数万円単位の謝礼をもらう飲み会のこと。
2019年1月放送『ナカイの窓』(日本テレビ系)に出演したグラビアアイドルの小林ひとみは、1日に4件も飲み会をはしごし、一夜にして50万円ほど荒稼ぎしたこともあると語っていた。
彼女によれば、ギャラ飲みの現場には、売れていないグラドルだけでなく、雑誌の表紙を飾るようなアイドルもおり、グラドル業界のギャラ飲み経験率は100%だという。
時代をつくったグラドルたちも驚くべき薄給を語る
実は、グラドルの懐事情を取り巻く惨状はいまに始まった話ではない。
2018年1月放送『ナカイの窓』では、“レジェンド”と呼ぶにふさわしい、新旧の大物グラドルが次々とお金の面での苦労話を話していた。
バブルの時代を彩り、現在まで続くグラドル文化をつくりあげた、かとうれいこ・細川ふみえですら、全盛期の当時に満足なギャラを受け取っていなかったという。
かとうは当時給料制で、しかもその額は月額10万円しかなかったという。細川もグラドルとして活躍していた当時は給料制で、結婚後に歩合制に契約を変えたときはその金額の違いに驚いたそうだ。
少し時代をくだって2000年代に活動し始めたグラドルもギャラは厳しかったという。
インリン・オブ・ジョイトイも給料制で、普段はコンビニで弁当やカップラーメンを買う生活をしていたそうだ。番組では最高月収でも50万円を越えたことはなかったと語っていた。
篠崎愛は以前の事務所に所属していたときの給料がわずか5万円だったという。とても生活できる額ではない。
1990年代〜2000年代を彩ったスターたちも、その知名度・人気がギャラに還元されることはなかったようだ。
グラドルの稼ぐ道は多様化している
いま、そんな状況がようやく改善されようとしている。タレントの稼ぎ方は多様化し、テレビ・雑誌・CMへの出演料しか収入がないような環境はなくなりつつあるからだ。
タレントが収益を得る方法は数あるが、その筆頭がYouTubeチャンネルだ。
現在、人気グラドルが続々と公式YouTubeチャンネルを立ち上げており、清水あいり、寺本莉緒、橋本梨菜、星名美津紀、和地つかさといった人気グラドルは数万人規模のチャンネル登録者数を誇る。
特に、森咲智美の公式YouTubeチャンネルは登録者数57.3万人にものぼる(2022年2月当時)。
彼女の場合、攻め過ぎた動画内容ゆえにYouTube側からBANされてチャンネルの収益が無効になってしまっているようだが、それでもYouTubeを使ったマネタイズの道が絶たれてしまったわけではない。
現在、チャンネル登録者数が50万人いるYouTubeが企業案件を受けて動画制作を行う際の相場は50万円〜100万円と言われている。やろうと思えば、1本動画をつくるだけで、全盛期のかとうれいこが10カ月かかってようやく手にしたのと同じ額を一気に稼ぎ出せてしまうのだ。
同じような稼ぎ方はTwitterやInstagramなどのSNSでもできる。これらSNSで企業案件を請け負う際は1フォロワーあたり0.5円〜1円が相場。前述した森咲はTwitter・Instagramの合計で約500万人ものフォロワーを獲得している。
アパレルなどの分野ではインフルエンサーが企業と組んで収益を得るのはごくごく当たり前に行われていること。500万人もフォロワーのいる彼女なら大金を一気に稼ぎ出すことも難しいことではない。
実際に森咲は、2022年2月に放送された「占いメガネ」(TBS)では「お金をずっと稼ぎ続けられるか」を占ってもらい、「これからまたゼロ1個増えます」と言われ、「ゼロが1個増えたらいくらになるんですか」と質問された森咲は「億プレイヤーです」と答えており、今の年収が少なくとも1000万円以上であることを明かした。
まだまだある! ネットを使った稼ぎ方
インターネット上の新しいサービスを活用して稼ぐ方法は、まだまだある。
たとえば、Fantiaなどのクリエイター支援プラットフォームや、ライブ配信などだ。
ライブ配信はSHOWROOM、17LIVE、Pocochaなどさまざまなプラットフォームがしのぎを削っているが、どのサイトでもアイドルがファンとコミュニケーションして投げ銭を得る様子が日常的に見られる。
ただ、簡単な商売ではない。家にいながらにしてファンと交流できる便利なサービスだが、継続的に配信してポイントを稼がないとサイト内ランキングが落ちていってしまうなど、大変な側面もあるのである。
人気アイドルになると、前述したようなプラットフォームに頼らず、自らサイトを運営することもある。これまで何度も例に挙げてきた森咲は活動10周年の節目となる2021年8月に公式ファンサロン・Playroomを立ち上げた。Playroomでは月額495円払えば、ここだけしか見られない写真コンテンツや音声ライブ配信を見ることができる。
もう少しアナログな方法だと、個人撮影会(個撮)という稼ぎ方もある。個撮は1枠(1時間ほど)ごとに1万円〜3万円。運営などと折半になるので、グラドル本人が得るのはその半額ほどだろうか。単なる撮影会ではなく、野外デートなどオプションをつけたイベントを実施すればギャラをつり上げることはできるが、イベント主催者の管理や参加者との信頼関係は必須。トラブルが常々新聞・ネットで報じられている通り、十分な警戒と準備が必要だ。
いずれにせよ、時代は大きく変わりつつある。今後は経済的な面でもグラドルたちが報われる世の中になってほしいものだ。
(文=グラッチェ編集部)