【町あかりインタビュー】タヌキ社長に恋をしたOL ~昭和アイドルとグラドルの話も~

町あかり

昭和アイドルとグラドルの関係

 山口百恵、松田聖子、小泉今日子…いわずと知れたビッグネームたちも夏には水着になって絶世の美女らしい刺激的で濃厚な魅力を振りまき、世の中を華やかなに彩った。

 いわゆるグラドルの元祖といえば76年から77年にかけて大フィーバーを巻き起こしたアグネス・ラムと言われるが、70年代から80年代にかけての昭和アイドルが今のグラドルの素地を作ったことに異論を唱える人は少ないだろう。

 もちろん、昭和アイドルと令和グラドルでは戦うステージや武器もまったく異なる。だが、今のグラドルが昭和アイドルに学べることは多いに違いない。

 そんなことを考えていたところ、昭和アイドルに詳しいシンガーソングライターの取材を依頼された。平成生まれながら昭和をこよなく愛するという町あかりさんだ。

 実は町あかりさんは、5月20日(金)公開の映画『タヌキ社長』で主演を担当。ほぼ初演技ということだが、タヌキ社長に恋をする部下のOLという難役に挑んだ。

『タヌキ社長』5月20日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー

町あかり初主演映画インタビュー

――タイトルやポスタービジュアルなどからしてインパクト抜群の作品ですね。

町あかり(以下、町):バカ映画の巨匠・河崎実監督の最新作ということで、見るからにすごいですよね(笑)。

――河崎監督は『いか レスラー』『コアラ課長』『かにゴールキーパー』といった着ぐるみ動物ものでも知られます。

町:『タヌキ社長』は不条理どうぶつシリーズの最新版と謳われていますね。

――どういった内容なんでしょうか。

町:基本的には喜劇なんですが、恋愛要素があったり勧善懲悪だったりと、いろんな要素がギュンギュンに詰め込まれている娯楽作品になっています。見た後は気分爽快という感じです!

――恋愛要素というワードが出ました。町さんの演じた房子がタヌキ社長に恋をするんですよね。

町:はい。タヌキ社長って見た目はすごく個性的というか、まあタヌキなんですけど(笑)、めちゃくちゃ素敵なんです。人格者というか、信念を持っていて人にやさしくてマジメで純粋で…。

――町さん自身も惹かれるようなタイプ?

町:ほんと、そうですね。こういう男性がそばにいたら好意を抱くと思います。

映画『タヌキ社長』より

――では、役柄にもすんなり入れた感じですか?

町:こんなにセリフがある役というのは初めてで、クラインクインの前はすごく緊張しましたが、キャラクターの気持ちには共感できる部分も多かったので、その点はやりやすかったと思います。

――とはいえ、相手はタヌキですから、撮影は苦労したのでは?

町:撮影は着ぐるみを着るプロの方が入ってくれたので、意外と動きもスムーズで違和感はあんまりなかったです。監督から「タマキンをもっとぶらぶらさせて!」っていう指示をされていたときは、かなり大変そうでしたけど(笑)。

――「タマキン」は今作の強烈なキーワードですよね。

町:タヌキなんで(笑)。

――見どころというと?

町:いろんな要素が詰め込まれているので、ひとつに絞るのは難しいですね。先ほど言ったようにタヌキ社長と房子の恋愛ストーリーも最初から最後まで気になりますし、コントや漫才のシーンも充実しているのでお笑い的な要素もあって、観る人によって見どころも変わる気がします。

――河崎監督はどんなメッセージを伝えたかったと思いますか?

町:監督が「これは“おバカ映画”じゃないんだ。“バカ映画”なんだ」って言っていたのがすごく印象に残っているんですが、その「バカ」っていうは「一生懸命」とか「マジメ」とか「一直線」とも言い換えられると思うんです。だから、そういう「バカ正直」といわれる価値観の素晴らしさみたいなものを伝えたかったんじゃないかな。憶測ですけど(笑)。

――『空手バカ一代』という名作がありますが、その「バカ」もとにかくまっすぐに極めるといった意味合いですよね。それと共通する部分がありそうです。

町:まさに監督も『空手バカ一代』のことは言っていました。『空手おバカ一代』じゃないんだって。

――『空手おバカ一代』だとなんか弱そうですよね(笑)。

町:タヌキ社長もすごく一途な方なので、そういった愚直な面が作品全体にあるように思います。とにかく見終わった後の気分が最高にいいので、ぜひ落ち込んでいるときなどに観てほしいですね。

――そういえば、町さんは『男はつらいよ』シリーズも大好きだとか。寅さんも真っ直ぐなタイプですよね。真っ直ぐすぎるというか…。『男はつらいよ』も元気をもらえる作品だと思います。

町:私は映画でもドラマでも「いい作品」が好きなので、タヌキ社長もすごく好きな作品になりました。

――寅さん好きということですが、『タヌキ社長』でマドンナ役に抜擢された気持ちは?

町:それがほんとにウキウキワクワクでした(笑)。いち映画ファンとして、「私がマドンナ!」って舞い上がっちゃった感じです(笑)。

――4月には『町あかりの「男はつらいよ」全作品ガイド』(青土社)という著作も出されましたよね。本を出すほどの寅さん好きが、違う作品とはいえマドンナを演じることができて大興奮だったわけですね。

町:そりゃもう(笑)。

――そもそもなぜ寅さんや昭和歌謡などを好きになったんですか。

町:昭和の名曲とかを紹介するテレビを見たのがきっかけですね。そこに映っていた岩崎宏美さんがすごく衝撃的で…。それからYouTubeなどで昭和歌謡を漁るようになって、どんどんハマりました。

――昭和のアイドルの魅力というと?

町:そうですね。成長が見られるというか、デビューからどんどん綺麗になっていって、やがて歌手の顔になっていく感じがたまりませんね。

――アイドル本人のストーリーを感じるわけですね。

町:純朴な少女が大人の階段を昇っていく感じでしょうか。

――現在のグラドルも昭和アイドルの系譜だと思いますが、個々人のストーリー性という意味では、昭和アイドルの方が濃密な気がします。

町:私はグラドルさんのことをよく知らないので何とも言えませんが、確かに昭和アイドルにはそれぞれ個性的なストーリーがありますよね。

――特に最近はネット世界が充実していますので、タレントとファンの間だけでいろいろなことが完結できちゃう現実があります。これはこれで素晴らしいことですが、完結しちゃうので世間に羽ばたけないというか、羽ばたく必要もなくて…、結果的にグラドルたちがこじんまりしてしまうのかもしれません。

町:昭和アイドルは日本中を巻き込んでブームになることも多かったですからね。時代の移り変わりという部分は仕方ないと思いますが、確かに今は大スターが生まれにくい時代なのかもしれないですね。

――これからのグラドルには自分のストーリー性を大事にして、それをグラビアで表現しながら芸能界の大スターを目指してほしいと思います。

町:令和グラドルさんには昭和のアイドルを参考にしてもらえたらと(笑)。

――あと、『タヌキ社長』の房子のマドンナっぷりからも今の時代に必要そうな純朴さと真っ直ぐさなどを学べそうです。

町:それはどうかな~(照)。でも、とにかく前向きになれる映画なので、モチベーションが少し下がったときとかに観てもらえたら嬉しいです!

映画『タヌキ社長』より

(取材・文=グラッチェ編集部)

【町あかり】
1991年東京都出身。平成生まれながら昭和歌謡曲を愛するシンガーソングライター。映画『タヌキ社長』で本格的な演技に挑戦。近著『町あかりの「男はつらいよ」全作品ガイド』(青土社)。オフィシャルウェブサイト=https://mcakr.com/公式Twitter@mcakr

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